いらっしゃいませ m(_ _)m 駄文倉庫です。 こちらでは二次小説を扱うこともありますが、原作者様、関係出版社様とは一切関係がありません。それらをご了承の上、ご覧ください
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桜舞
2014年04月04日 (金) | 編集 |
ご無沙汰しております。

たくねこ生息地、首都圏は桜の盛りを迎えました。
皆様のところはいかがでしょう?

桜を見ていたら、手塚スキーが踊りだしましたので、
久しぶりにお目汚しです。

楽しんでいただけましたら、幸いです。




緩やかな風に乗って、ひらりと桜がひとひら舞い込んできた。
寒い日が続いたと思うと、急激に暖かい日になったり、
また寒くなったりと、
日本の四季はどこへいったと思うような冬は
桜の開花で唐突に春へと切り替えたらしい。

暖かく、窓を開け放していても気持ちいい。
よく晴れた公休日は、家にいるのがもったいないと思いつつも
働く主婦にとっては家事をまとめて済ませられる貴重な日。
せっせと日頃気になっていたものの手を付けられなかった片付けに精を出す。

ひらり、と目の前にまたひとひら舞い落ちる。
そっと掌にのせて、ふっと息をかけて飛ばす。
「一人で見てもつまらないもの」

去年の桜は二人で眺めていた。
ひらひらと舞う桜を、飽くことなく堪能していた。
今年もそのつもりだったけれど、予定より早く咲いた上に
暖かい日が続いたので、盛りはあっという間に来てしまった。
「山はまだ咲かないものね」
訓練からはそろそろ戻ってくるはずだが、野営でもしているのか
ここ数日連絡がない。

ひらり、とまたひとひら。
「もう散り始めたのかな」
散り際を飽くことなく眺めるのは好きだけど
去年二人で堪能してしまった思い出がある分、
一人で楽しむ気にはなれない。

ひらり、と舞いこんだ花びらを追った視線の先で
携帯端末がメッセージの着信を知らせている。
ふっと口元に笑みが乗る。


車窓から今を盛りに咲き競っている桜が目に入る。
訓練地を出るときは、まだ肌寒かったが
街中はすでに春が進んでいる。
帰宅できる、というメッセージに返事はなかった。
今日は休みのはずだから、どこかへ出かけたのだろうか。

夕闇の中、見上げた自宅は灯りがない。
やはり出かけているらしい。
家にはいると、いつものように整えられた室内に
かすかな違和感が漂っている。
外からの微かな光に、床が点々と白く浮かぶ
しゃがんで手にとって見ると、小さな花びら

ひらり、と頬を掠めてまた一つ床に舞い落ちる。
視線を上げると、窓が開いている。
窓に近づこうとテーブルの横を通ると、
テーブルの上には携帯端末と、集められたようなはなびら。
ひらりと舞い落ちる花びらを拾い集めて、
携帯端末にむけてひらひらと落とす姿が目に浮かぶ。

ひらり、と舞い込んできた花びらに
ふっと口元が緩む。
入ってきたばかりの玄関に向けて踵を返し外へ出た。


薄青の空のした、ほとんど白に近い桜色がぼんやりと浮かぶ。
閲覧室から見えるのに、毎年見とれてしまうと言っていた
大きな桜の木。
確か図書基地ができる前から植わっていたと聞いた。
近づかなくてもわかる、そこにいる。
ひらりと舞う花びらに誘われるように
ゆっくりと一歩一歩近づいていく。
花よりも根元に近い処に、月の光のような銀の灯り。
手を伸ばせば届きそうなところで足を止める。
「ただいま」
白に近い桜色の肩掛けが風に揺れる。
自分の足元を見ていた顔がゆっくりと動く。
こちらの足元を、ひざを、腰を、胸元を、首を、顔を…
じれったいぐらい時間をかけて、口元が微笑んでいく。
「おかえりなさい」

少しイタズラっぽい目は満足そうに微笑んでいる。
「わかったのね」
「わかるさ、お前のことだから」
ゆっくり手を広げる。
「最後の一歩、どうするの?」
自分が酷く意地悪な顔をしている気がする。
「任せるよ、どうするのか」
一瞬、見開いた目がとろりと溶ける。
きっと自分も同じように溶けている。

ひらり、と舞う花びらと共に、小さな身体が腕の中に納まる。
「ただいま」
「一人で桜を見ちゃうとこだったわ」
「間に合って良かったよ」

ぞくり、とするほど美しいと思うのは
薄闇に浮かぶ桜なのか、腕の中の人なのか…
どちらであれ、魔性の美しさからは離れられない
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